青春・・・80でも90でも、、、①

・・・私はインターネットの無い時代に青春を送った。無くてもすんだ?わけではない。あればどれだけ面白い戦いを世界に挑めたか?それを思うと”時代の巡り合わせ”、その色彩の光沢(運・不運)って、確かにあるなと思える。
、、、っと言っても比較にもならないもっと悲惨な時代の不運は「戦争」の経験でしょうね。1日違いで特攻に出撃した未来ある優秀な若者が、翌日に終戦を迎えた?っというもので、一体全体この不運をどこで折り合いつければいいのでしょうか?
ネットの動画にもたくさん出てる必勝!のハチマキをした、恐らくは仲間との最後の写真であろう屈託のない笑顔を見るに、胸に迫るものがある。(これは長くなるので別の機会に譲る)
さて、ずっと昔、〇〇県のある山沿い(名前は忘れた)を歩いていた。下からゆっくり上がってくる老人が見えた。こちらは下山?っというほど大袈裟なものではないが、登りと別の道だったので、方向を間違えてないかすれちがう時にその老人に尋ねた。
(ここを真っ直ぐ降りて行けばいい)と教えて貰った。上から降りて来るときに気づいてたんだが、道の両脇に大きさの違う様々の石があって、それに仏様?を刻んだような跡がある。老人何かの金具?のような物を持っていたので、何を感じたのか、その石の事を聞いてみた。
「この両脇にある石には仏様を刻んでるものが多いですね~」
(あ~それはわしが彫ったのだ)
「・・・??・・・」
(この道を造るには昔えらく人手が必要でな、今はなんでもない道だが、当時はずいぶん人が死んだそうだ。その事を知ってから、時間を見つけて掘り始めたんだ)
「・・・そうなんですか、、、でもこんなにたくさん大変だったでしょう」
(な~に、死んだ人の事を思えばどうという事はない。わしももう直ぐお迎えが近いので、何かしようと思ってね)
「・・・どうかお元気で・・・」、、、行こうとすると(あ~君~)と呼び止められた。
(急いでなければこれを一杯飲んでいかないか?)っと水筒のようなものから注いで貰った飲み物をいただいた。少し独特の味がしたが美味しかった。
(わしが作った健康特製飲み物だ。)
・・・しばらく周りの景色やら、少し大きめの石に彫られた仏様など見ながら雑談した。
遠くを見つめていた老人がフとこちらを見て、、、
(わしから見るとずいぶんお若いようだが、、、君は=青春=をどう考えるかね?)
「??・・・青春ですか、、、思った以上に短いような気がします」
★・・・この時、いくつか?と年齢を聞かれたのだが、私は今日まで生きてきて、人に年齢を尋ねた事がないので”若輩者です”とだけ答えた。
(若輩者か~そ~いう風に返答した者もいないな~変わってるな、君は、、、)
こちらが軽く微笑むと老人も少し笑った。
(わしも友人たちもみんな若輩者だったがね、、、)そ~言うとまた遠くを見つめながら
(青春とはだね、同じ時代を生きた仲間が生きてる間はず~っと青春なんだよ。80でも90でもだ。一緒に暴れまわった奴が、まだ二人なんとか生きてるので、わしも青春を楽しんでるよ)、、、そう言って老人は笑った。
「・・・・いい言葉をありがとうございます。ではまた」丁寧にお辞儀をして水筒の蓋を返して行こうとすると、呼び止められた。そして名詞を渡されて、(いつでもいいから遊びに来てくれ)っと言われた。一瞬考えたが、自分も名詞を渡して別れた。
それから2~3週間も経過したろうか、なにやら大きくない小包が届いた。
中には古い新聞のコピーやら、なんと毛筆で書かれた故人となっていた総理大臣への手紙?やら、興味深いものが入っていた。記事を読みながら老人の名前を見つけて「ふ~ん、そ~言う人だったか~」っとあの日の事を思い出し、いつかまた行ってみようと思った。